(右は、上の写真の中央下部を拡大した画像。棕櫚がびっしりと植えてあるのが分かる)
棕櫚箒の原料には、このように今も残る棕櫚の木や自然に自生した木の棕櫚皮は、残念ながら、まったく使えない。
棕櫚製品を作るには、芽が出てから毎年人が手を加え世話をし、皮が痛まない工夫をこらして10年ほど育てた木の皮でなければならない。(1本のシュロの木から1年にとれるシュロ皮は、わずか10枚ほど。)毎年の手入れを怠って自然にまかせた棕櫚皮はすぐに劣化してぼろぼろになってしまう。
特に棕櫚製品の中でも、棕櫚箒の原料は特別に肉厚で幅が広く長く、光沢の美しいことが求められた。そのような原料がとれるのは、最盛期に数万本と植えられた棕櫚の木の中でもごく一部だった。
昭和30年代後半から、化学繊維の登場で棕櫚産業は衰退し、棕櫚皮の生産も終わり、他の木に植え替えられた。もともと良質な棕櫚皮は数少なかったのが、欲しくても手に入らないようになり、最後に地元産の原料を仕入れてから10年以上が経つ。現在は、支那毛と呼ばれる輸入した良質の棕櫚の皮を吟味して箒を作っている。箒の質が落ちる事を何より嫌った桑添夫妻が、この支那毛で良質の箒を作る為の工夫を重ね、昔とほとんど変わらない品質の箒を作り出し今に至る。 |