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ここでは、棕櫚箒(しゅろほうき)に関して、皆さまから寄せられた、よくある質問やご意見をご紹介し、その疑問や不安にお答えしています。

私が棕櫚箒職人として学んできたことと(箒職人の目線)、自社の様々な棕櫚箒を毎日の掃除に使用しての実感(使用者の目線)に加え、
桑添の他に、地元の元・棕櫚箒職人、地元で昔から棕櫚箒を使っている方々に直接尋ねて得られた回答です。

棕櫚箒に関する不安、疑問をお持ちの方は、一度下記Q&Aをご参照ください。



・棕櫚箒(しゅろほうき)には、鬼毛箒(おにげぼうき)と皮箒(かわぼうき)がありますが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?


 [質問1]畳もフローリングも掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

 [質問2]フローリングの部屋しかないのですが、どの箒を選んだらよいですか?

 [質問3]主に畳の部屋で使いたいのですが、どの箒を選んだらよいですか?

 [質問4]庭や、家の外回り、玄関先を掃ける箒を探していますが、棕櫚の庭箒はありますか?

 [質問5]店舗や学校などの、土足の木の床(フローリング)やPタイルの床を掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

 [質問6]カーペットやラグも掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

 [質問7]台所(キッチン)も含め、フローリングや畳など家中も掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

 


・どのサイズの棕櫚箒(しゅろほうき)を選んだらよいですか?


 [質問8]わたしの家(一戸建・マンション・アパート等)で使うのには、どのサイズ(玉数)の棕櫚箒がいいのですか?

 [質問9]掃く場所に物が多く、狭い部屋に向いた箒はどれですか?

 [質問10]広い部屋に向いた箒はどれですか?

 [質問11]プレゼント用に箒を探していますが、どれがおすすめですか?

 [質問12]どの箒を買ったらいいか分かりません。おすすめの箒はありますか?

 

・棕櫚箒(しゅろほうき)とは、どのような箒ですか? 鬼毛箒(おにけぼうき)と皮箒(かわぼうき)の違いはなんですか?


 [質問13]棕櫚箒を見た事がないのですが、どのような箒なのですか?

 [質問14]鬼毛箒(おにけぼうき)とは、どのような箒ですか?

 [質問15]棕櫚の皮箒(かわぼうき)とは、どのような箒ですか?



・棕櫚箒(しゅろほうき)の使い方を教えてください。


 [質問16]棕櫚箒は、掃き出しができない、と聞いたことがあるのですが本当ですか? 他にもしてはいけない掃き方があるのですか?

 [質問17]色々調べると、棕櫚箒は、なんだか掃き方が特別で難しそうですが、使い方・掃き方はどうすればよいのですか?

 

・国産の原料・輸入の原料


 [質問18]純国産の鬼毛箒はありますか?

 

・意匠の違う「銅線巻き」「黒糸巻き」「銅線と黒糸のコンビ巻き」はどう違うのですか?


 [質問19]銅線巻きと黒糸巻きは、どう違うのですか? 耐久性や性能の違いを教えてください。

 

・その他のご質問


 [質問20]桑添勇雄商店以外に、棕櫚箒を作っている所は残っていないのですか?

 [質問21]棕櫚箒は「はじめに樹脂の粉が箒から落ちる」と聞いた事があるのですが、どういうことですか? この樹脂粉は何か害があるのですか?

 [質問22]直接、桑添勇雄商店に行き、箒を見て、選んで買う事はできますか?

 [質問23]ちりとりも売っていますか?



・棕櫚箒(しゅろほうき)には、鬼毛箒(おにげぼうき)と皮箒(かわぼうき)がありますが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

[質問1]

畳もフローリングも掃きたいのですが、
どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

[答え1]

棕櫚箒は、鬼毛も棕櫚皮の箒もどちらも、もともとは畳専用のお座敷箒でした。
昔は、1本の箒を何年も使い古しながら、最初は畳、次に板間(フローリング)へ、最後は土間へと、毛先が擦れて短くなるにつれ、用途を変えながら、朽ちて掃けなくなるまで使われてきました。

ですから、鬼毛も棕櫚皮の箒もどちらも、畳にも板間(フローリング)の掃除にも適しており、綺麗に掃除できる、といえます。
遠方のお客様で、掃き比べていただけない場合は、見た目の好みやご予算でお決めいただいています。

また、汚れやすい床(特に食べ物の汚れ)を掃く箒と、直接肌に触れる畳やフローリングとは、同じ1本の箒を使うのではなく、別々の箒を使い分けた方が清潔です。
[答え12]もご参照ください。

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[質問2]

フローリングの部屋しかないのですが、どの箒を選んだらよいですか?

[答え2]

詳しい回答は上記[答え1]をご参照ください。

鬼毛箒・棕櫚皮箒のどちらもフローリングの掃除に適しています。

また、汚れやすい床(特に食べ物の汚れ)を掃く箒と、座ったり直接肌に触れるフローリングとは、同じ1本の箒を使うのではなく、別々の箒を使い分けた方が清潔です。
[答え12]もご参照ください。

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[質問3]

主に畳の部屋で使いたいのですが、どの箒を選んだらよいですか?

[答え3]

詳しい回答は上記[答え1]をご参照ください。

特に、主に畳用ということであれば、鬼毛箒をおすすめしています。

また、汚れやすい床(特に食べ物の汚れ)を掃く箒と、直接肌に触れる畳とは、同じ1本の箒を使うのではなく、別々の箒を使い分けた方が清潔です。
[答え12]もご参照ください。

昔から「棕櫚箒を使い続けると畳に艶が出て光ってくる」といわれていますが、これは掃除機と違って畳を傷つけないことと、棕櫚繊維に豊富に含まれる油分によるものといわれています。
また、皮箒に比べ繊維が太くしっかりしている鬼毛箒の方が、畳を磨く効果はより期待できるようです。

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[質問4]

庭や、家の外回り、玄関先を掃ける箒を探していますが、棕櫚の庭箒はありますか?

[答え4]

当店の棕櫚箒はすべて座敷箒で、室内用に作られた箒です。
昔から室内用の箒は、箒の中でも高価でしたから、新しいうちはもったいないので室内だけで使用されてきました。(何年も使い古して後は土間や庭先を掃くのにも使いました。)

ただし、庭箒は作っておりませんが、当店の箒でも、棕櫚の皮箒は 玄関タイルやコンクリートの床を掃くのにもお使いいただいています。(濡れた地面や、大きめの砂利や石を掃くのには毛質が柔らかい為、向いていません。)

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[質問5]

店舗や学校などの、土足の木の床(フローリング)やPタイルの床を掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

[答え5]

棕櫚の皮箒をおすすめします。

昔は学校の木の床や廊下の掃除に、棕櫚の皮箒が使われていました。
皮箒も軽く、掃きやすく、細かいほこりも綺麗に掃除しやすいよい箒です。

当店の棕櫚箒はすべて座敷箒で、特に鬼毛箒は最高級品ですので、新品のもので土足の床を掃くのはもったいないですから、じゅうぶんにしっかり掃けて価格もより安価な皮箒をおすすめしています。(ただし、濡れた床や、大きめの砂利や石を掃くのには毛質が柔らかい為、向いていません。)
[答え4][答え12]もご参照ください。

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[質問6]

カーペットやラグも掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

[答え6]

棕櫚箒はもともと畳専用の座敷箒ですから、カーペットやラグを掃く事を想定して作ったことはありません。また、こちらにカーペットやラグがありませんので、試し掃きもできていない状況です。
しかしながら、ご購入されたお客様から「カーペットについた埃やペットの毛がよくとれる」というご感想を複数いただいておりますので、使える場合もあるようで、「へー、そうなのかなあ?」と驚いているところです。当店では誰も試した事がありませんので、必ず使用可能かどうかはお約束できません。

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[質問7]

台所(キッチン)も含め、フローリングや畳など家中を掃きたいのですが、どの棕櫚箒を選んだらよいですか?

[答え7]

台所(キッチン)に皮箒を1本、それとは別にフローリングや畳専用に鬼毛箒または皮箒を1本、の計2本の箒を使い分けることをおすすめします。

同じ家の中でも、台所などの食べ物の汚れの多い床(食べ物のかす・油汚れ)を掃く箒と、畳や居間など(特に座ったり寝ころんだり直接肌が触れる床)の、乾いた埃や塵を掃く箒は別々のものを使用した方が清潔ですし、それが本来の使い方のようです。昔から鬼毛箒は最高級の座敷箒とされ、畳で何年も使い古してから初めて他の場所の掃除に使われてきたものですから、はじめから汚れやすい場所を掃く場合は、鬼毛箒に比べ価格が安価な棕櫚皮箒の方が、気兼ねなくどんどん使え、向いているといえるかもしれません。

同じように、家の中と、土足の玄関などを掃く箒も別々のものを使用します。土足の床も同じ理由で棕櫚皮箒をおすすめします。

[答え12]もご参照ください。

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・どのサイズの棕櫚箒(しゅろほうき)を選んだらよいですか?

[質問8]

わたしの家(一戸建・マンション・アパート等)で使うのには、どのサイズ(玉数)の棕櫚箒がいいのですか?

[答え8]

箒の大きさ(玉数)は、通常、ご家庭でご使用になる場合には、長柄箒は昔から一番好まれてきた、大きすぎず小さすぎない定番サイズの9玉か、やや小ぶりで軽い7玉を、また、使い勝手を考慮して、長柄箒と手箒(短柄)の2種類を併用されることをおすすめしています。

広い面積を掃く場合は、長柄の方が楽に掃けます。
また、ちょっとした掃除や、部屋のすみ、ちりとりにゴミを掃き入れる時には、短柄の手箒があると、より快適かと思います。

とはいえ、長柄か手箒のどちらか1本だけで家中掃除するという方もたくさんいらっしゃいますので、 ご自身の使い方に合う箒を選択をされるとよいと思います。

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[質問9]

掃く場所に物が多く、狭い部屋に向いた箒はどれですか?

[答え9]

雑多な場所を掃く場合には、長柄箒では、やや小振りで軽く小回りのきく7玉を、または「小回りのきく」という意味では、狭い場所の机や椅子の下なども掃きやすい手箒(短柄)をおすすめしています。

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[質問10]

広い部屋に向いた箒はどれですか?

[答え10]

旅館や料亭の大広間や、神社・お寺などのように、家具のほとんどない広い部屋には長柄箒の11玉をおすすめしています。
通常、ご家庭でご使用になる場合など、広い部屋でも色々と家具がある場合には、長柄箒の9玉の方が使い勝手がよいように思います。
(若い方や男性などには、11玉もおすすめしています。)

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[質問11]

プレゼント用に箒を探していますが、どれがおすすめですか?

[答え11]

ご年配の方や、小柄な女性など力のあまり強くない方には、一番軽い長柄箒の7玉、また、特に腰の弱い方でなければ、手箒もおすすめしています。
男性や、主に飾っておくという場合や、家具の少ない広い部屋を掃除する場合、また「箒職人の目から見て一番おすすめは?」と聞かれますと、やはり、一番美しく技術的にも難しい長柄箒の11玉をおすすめしています。
ただし「一般家庭で使用する場合の一番のおすすめは?」と聞かれた場合には、何かと使い勝手のよい大きさとして好まれてきた、長柄箒の9玉をおすすめしています。

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[質問12]

どの箒を買ったらいいか分かりません。
おすすめの箒はありますか?

[答え12]

さまざまなサイズ(玉数)の棕櫚箒を使ったうえで、使い勝手と価格も考慮して、一番よいのではないか、と思われる組み合わせを、自分も含め複数の人の意見をもとに出しましたので、参考になさってください。

できれば家の中でも、台所などの食べ物の汚れの多い床(食べ物のかす・油汚れ)を掃く箒と、畳や居間など(特に座ったり寝ころんだり、直接肌が触れる床)の、乾いた埃や塵を掃く箒は別々のものを使用した方が清潔ですし、それが本来の使い方のようです。昔から鬼毛箒は最高級の座敷箒とされ、畳で何年も使い古してから初めて他の場所の掃除に使われてきたものですから、はじめから汚れやすい場所を掃く場合は、鬼毛箒に比べ価格が安価な棕櫚皮箒の方が、気兼ねなくどんどん使え、向いているといえるかもしれません。
また、家の中と、土足の玄関などを掃く箒も別々のものを使用します。土足の床も同じ理由で棕櫚皮箒をおすすめします。

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・鬼毛箒長柄9玉(または7玉) 1本(畳や居間などの座敷用に)
・手箒(短柄)棕櫚皮または鬼毛箒 1〜2本(ササッと短時間で掃く掃除に。皮手箒は、台所・リビングなど汚れやすい床用、または土足の玄関・玄関先用に。鬼毛手箒は座敷用に)
・荒神箒(小箒) 1本〜 (卓上、棚の上、サッシの溝、冷蔵庫内、障子などの建具に溜まった埃用、階段や部屋のすみなど)
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以上3種類(長柄・手箒・小箒)の併用をおすすめします。
これらで、家中のほとんどの掃除をカバーできます。

 

または、どなたに使っていただいても「軽くて掃きやすく疲れにくい」と大変喜ばれている「棕櫚皮手箒・上」のご使用をおすすめします。
これは当店の箒の中では一番軽量(250g前後)で、何かと気軽に掃きやすく、お求めやすい価格の日常使いの実用的な棕櫚箒だという点でおすすめできます。耐久年数などを考え通常は「特上」の箒をおすすめしておりますが、日常の掃除にはこの箒もとても使いやすく重宝します。この箒はご使用状況にもよりますが、耐久年数は数年から10年程度といわれています。
「棕櫚皮手箒・上」1本を座敷専用に、もう1本を台所に 、もう1本を玄関に、など、これ一種類を数本使い分けても家中の畳・床掃除にお使いいただけます。(手箒は、長時間の掃除には腰が疲れる場合がありますので、その場合は長柄箒をおすすめします。)

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・棕櫚箒(しゅろほうき)とは、どのような箒ですか? 鬼毛箒(おにけぼうき)と皮箒(かわぼうき)の違いはなんですか?

[質問13]

棕櫚箒を見た事がないのですが、どのような箒なのですか?

[答え13]

棕櫚箒は、厳選した棕櫚の木の皮を原料にした箒で、大きく分けると鬼毛箒(おにげぼうき)と皮箒(かわほうき)の2種類があります。(詳しくは下記の[質問14][質問15]をご参照ください。
どちらの棕櫚箒も、畳やフローリングを掃く室内用の座敷箒です。

棕櫚は草やシダ箒に比べ繊維が細く柔らかですが、それでいて強靱で、しなやかなコシと耐久性があります。長年使用すると毛先が摩耗して長さは短くなっていきますが、草や藁のようにポキポキ折れてしまうということがありません。
棕櫚の箒は、昔から関西から西では座敷箒として一般的で、どこの家庭にもあったような実用的な箒です。(昔から鬼毛箒は高級品でしたから、裕福な家にしかなかったようです。一般に最も広く愛用されていたのは皮箒です)

また、現在作っている棕櫚箒の外観・意匠の基礎は、江戸時代にさかのぼるといわれています。

原料の棕櫚の木の皮は、それぞれの木によって、また1本の木の中でも採取する部位によって、皮の幅や長さ、厚さ、繊維の太さなどが異なります。それらの様々な皮を選別し、それぞれに適した種類の箒に加工しています。たとえば、繊維の特別太く長い皮は鬼毛箒の原料に、細く美しい皮は棕櫚皮の手箒や小箒に、というように加工します。

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[質問14]

鬼毛箒(おにけぼうき)とは、どのような箒ですか?

[答え14]

当店をはじめ、現在生産され流通している「鬼毛箒(おにけぼうき)」は、棕櫚の木の皮のうち、特別に繊維がまっすぐで太く長い皮を選別し、その皮をさばいて棕櫚の繊維のみを取り出し、それを銅線や糸で束ねて作った箒のことです。元になる皮の繊維が通常の皮箒の原料皮の繊維より太いので、皮箒の棕櫚繊維よりもしっかりしたコシのある毛質で丈夫であり、耐久年数も、より長いといわれています。

現在使われている「鬼毛箒」という言葉は、このように「棕櫚繊維のみを取り出したものを束ねた箒」を意味する総称です。昔は、原料の棕櫚皮1枚に10本ほど含まれる「鬼毛」という一番太く硬い毛だけを抜いて、丹念に集めて束ねた箒だけが鬼毛箒とよばれ、鬼毛以外の繊維(太市・たいし)を束ねた箒は「太市箒(たいしほうき)」と呼ばれる別の箒でした。この本来の意味での「鬼毛」はとても硬く強い特殊な性質の繊維で、使い込んでもまっすぐで美しく、見た目の美しさと数十年という耐久年数から、最高級の座敷箒とされていました。数十年前、新建材ができた当初のフローリングの塗膜が現在のものよりも柔らかく、この本物の「鬼毛」の箒で掃くと細かい傷が入るという苦情があり、「決して塗膜に傷がつかずフローリングでも使える柔らかい箒を作ってほしい」という要望に応えて作り出されたのが、現在の「鬼毛箒」です。この現在の鬼毛箒の原料には、太市(たいし)と鬼毛が混じっており、双方の性質である強さと柔らかさが活かされています。現在は建材の塗膜も強くなりましたし、鬼毛箒もこのように改良されておりますから、床の塗膜に傷がつくことはありません。(もちろん無垢の床材も傷つけません。)

また、現在、昔のような本物の「鬼毛」を集めた箒が作られなくなった背景には、鬼毛自体の生産・流通がなくなってしまったこともあげられます。10年以上前から、地元国産棕櫚皮の生産・流通はほとんどなくなりましたが、すでにその数年前から地元産の上質な鬼毛は流通しなくなっており(良質な鬼毛のとれる皮は元々稀少な為。また、集めたり加工するのに大変な手間がかかるので、生産する人がいなくなった為。硬い繊維の箒は好まれなくなった為)、箒屋の在庫を使い切れば終わり、という状況でした。
もし今、仮に、良質な鬼毛がとれるような特別な皮が大量に手に入ったとして、私たち箒職人がその1枚の皮から10本ほどとれる本物の鬼毛だけを抜き取って、本来の意味での鬼毛箒を作るとすると、原料代だけで相当な金額になり、完成品の箒の価格は、およそ日用品とはよべないような法外な金額になると思われます。そのような高額な箒は実用品とはよべず、作っても仕方がないものだと考えています。ただ、本物の鬼毛を採取・加工し箒にする技術は継承されていきますので、いつの日か良い原料皮が出来れば、また鬼毛のみを使った箒も作れるかもしれません。鬼毛のみで作った箒は毛質・掃き心地も硬いので、現代生活に適した現在の「鬼毛箒」の方が適度に柔らかくコシがあり、どなたにも使っていただける掃きやすいよい箒といえるのかもしれません。

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[質問15]

棕櫚の皮箒(かわぼうき)とは、どのような箒ですか?

[答え15]

棕櫚の皮箒(かわぼうき)は、棕櫚の木の皮を剥き、皮そのものを適量重ねて巻いたものを、銅線や糸で束ねて、毛先をさばいて作った箒のことです。鬼毛箒に比べ柔らかく撫でるような掃き心地の箒で、昔は学校や、広く一般家庭で畳や板間を掃くのに普及していました。
棕櫚の皮の美しさそのものを活かした意匠が魅力で、使い込むうちに柔らかく馴染んで掃きやすくなる「育てる」箒といえます。

また、鬼毛箒と違い、皮そのものの良さを活かしているため、原料の皮の品質によって耐久性や見た目の美しさの差が大きくあり、皮箒はまったく同じような意匠に仕上げたものでも、その品質は数段階に分けられます。特上のものは畳や板間を掃く座敷箒に、その他の安価なものは学校の床など汚れやすい板間や工場、土足の床面や土間の掃除にも使われました。

原料の棕櫚皮は、1本の棕櫚の木から1年に10枚程度しか収穫できません。しかも木によって皮の善し悪しの差が大きく、棕櫚箒用には最上質の皮しか使用できませんので、棕櫚のロープや紐の原料には使えても、棕櫚箒の原料としては使えないものがほとんどです。また、採取には専用の刃物を使用するため、熟練でないと原料に傷をつけてしまい、最終的に棕櫚の皮箒に使用できる無傷で美しく丈夫な原料は全体のごく僅かです。
このように厳選した原料を使用した皮箒は、見た目に美しく、柔らかく掃きやすい箒で、独特の質感・愛嬌のあるボリューム感は、鬼毛箒とはまた違った魅力があります。洋風のフローリングの部屋やお店にも似合う、という理由で皮箒を選ぶ方もいらっしゃいます。

また、皮箒は使い始めに細かい樹脂の粉が床に落ちます。当店では出荷前に専用の機械でこの粉を除去しておりますが、どうしても僅かに粉が残ってしまいます。皮箒をはじめてご使用になる前には、外や新聞紙の上などでよく振り払ってからご使用ください。掃除の最中に床に落ちた樹脂粉は、ゴミと一緒に掃きとってください。数回使用するうちにこの粉は完全に出なくなります。

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・棕櫚箒(しゅろほうき)の使い方を教えてください。

[質問16]

棕櫚箒は、掃き出しができない、と聞いたことがあるのですが、本当ですか?
他にもしてはいけない掃き方があるのですか?

[答え16]

当地方では、棕櫚箒で掃き出し掃除をしています。
地元の誰に聞いても、「掃き出しできるかどうか 、なんて考えたこともなく、昔から普通に掃き出し掃除してるなあ。部屋の中なら床でも天井でも乾いた面ならどこでも掃いている。他の箒と一緒で掃き方に決まりはない。頑丈だから気にせずどんどん使ったらいいと思う」という答えでした。

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[質問17]

色々調べると、棕櫚箒は、なんだか掃き方が特別で難しそうですが、使い方・掃き方はどうすればよいのですか?

[答え17]

棕櫚箒の掃き方についてはこれまで、「ポンと落としてスー」「穂先を使って撫でるように」「箒を立てたまま真横に移動させるように」など様々に表記されており、文章で見ると難しそうで特別な箒のような印象を与えているようです。
当店では、掃きやすさを第一に考えて制作を続けてまいりましたので、使う方には、あれこれ掃き方を難しく考えずに、ご自身が掃きやすいように掃いていただきたい、と考えています。
当地方の方々も、箒の掃き方は人それぞれで、埃をたててもいい場所・悪い場所・ゴミの量や重さや性質でも、その場その場で掃き方は変わってきます。普通の箒の使い方と同じで、なにも不安に思う必要はありません。安心してお好きなように掃き掃除をしてください。

また、基本的な箒の扱い方・お手入れ・保管方法については、こちらのページにまとめて掲載していますので、ご参照ください。

取り扱いでは、特に、保管方法が大切です。
・使わない時は、必ず吊しておくこと
・室内に飾る場合でも、保管場所は日光の当たらない(反射光も当たらない)場所を選んでください(太陽光は棕櫚繊維の劣化を早めるようです)

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・国産の原料と輸入原料の違いについて

[質問18]

純国産の鬼毛箒はありますか?

[答え18]

残念ながら、現在入手できる「鬼毛箒(おにけぼうき)」の原料は、輸入材しかありませんので、純国産の鬼毛箒はありません。しかし輸入材は昔から、一部には上質な繊維が含まれている場合があり、それをよく吟味して使えば国産にかなり近い品質の箒ができます。
地元国産の鬼毛箒の原料は、10年ほど前に在庫がなくなってしまい、それ以来入荷はありません。鬼毛といっても品質は色々とあるのですが、上質な国産鬼毛は、輸入材に比べてやや柔らかですがしなやかでコシがあり美しい繊維でした。原料さえあれば作りたいのですが、作る事ができません。
柄の黒竹は国産で、地元和歌山県日高の最上質の黒竹を使用しています。
また、現在、通称「鬼毛箒」とよんでいる箒は、昔の1枚の原料皮から10本ほどしかとれない鬼毛のみを丹念に集めて作った箒のことではなく、現代生活に合うよう毛質を改良した箒で、この本来の「鬼毛」とそれ以外の棕櫚繊維も使用されています。(詳しくは[答え13]参照

当店制作で、「純国産」とよべる箒は、「国産・限定品」と明記した棕櫚皮箒と小箒(棕櫚の谷の箒シリーズ)だけです。

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・意匠の違う「銅線巻き」「黒糸巻き」「銅線と黒糸のコンビ巻き」はどう違うのですか?

[質問19]

銅線巻きと黒糸巻きは、どう違うのですか? 
耐久性や性能の違いを教えてください。

[答え19]

くくり方の意匠は、銅線巻き・黒糸巻き・銅線と黒糸のコンビ巻きの3種類があります。

銅線巻きと黒糸巻きの違いは、ひとことでいえば、見た目・デザインの違いだけで、耐久性や性能に違いはほとんどありません。意匠はお客様の好みで作り分けています。

糸と銅線とでは、銅線の方が強そうに思われるかもしれませんが、耐久年数・経年劣化を考えると、糸の方がやや強いのではないかともいわれています。ただし、銅線はエナメル線とその他の銅線、また太さによっても強度は変わってきます。また、糸も銅線も、くくった箇所に何度も物のカドが当たったり摩擦が加わるような掃き方をしますと、傷ついて切れやすくなります。いずれにしても、数十年という耐久年数です。

棕櫚箒の歴史からいえば、一番古くからある昔ながらの意匠は「糸巻き」で、その後、見た目の華やかさが好まれる「銅線巻き」が登場しました。この銅線巻きは、当店以外で制作された棕櫚箒にも見られますので、他社の箒と一目で区別がつき、かつ上品な意匠を模索する中で「銅線と黒糸のコンビ巻き」ができました。

糸巻きは、最も古い伝統的な技法ですが、きっちり硬く締めるには銅線巻きに比べ技術が必要で、より力と手間と時間がかかりますから、今となってはほとんどする職人のいない技法です。
銅線巻きと黒糸締めの良さを活かしたコンビ巻きは、他店にはない意匠であり、職人の自信作で、当店の看板商品として制作しています。

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・その他のご質問

[質問20]

桑添勇雄商店以外に、棕櫚箒を作っている所は残っていないのですか?

[答え20]

当店のある野上谷(現・海草郡紀美野町と海南市野上新)には、桑添勇雄商店以外に、もう一人棕櫚箒専門の現役の職人さんがいらっしゃいますので、計2軒だけ棕櫚箒屋が残っています。当店は紀美野町に位置し、町境を挟んで隣接した集落(海南市野上新)にもう一軒棕櫚箒を作っている所があります。
野上谷には他に、棕櫚の小箒を専門に制作している所や、棕櫚のタワシを専門にしている所(こちらは実質閉店されたそうです)や、棕櫚のロープや紐を制作している所があります。
桑添勇雄の棕櫚箒は、和歌山県郷土伝統工芸品に指定されています。
全国的には棕櫚箒を作っているところは他にも数カ所残っているようです。
また、数年前に、地元の組合や問屋が中国で棕櫚箒を大量生産・輸入する目的で、野上谷の箒制作技術の基本を伝えたという経緯があり、輸入の棕櫚箒には作りや見た目がよく似たものがみられます。

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[質問21]

棕櫚箒は「はじめに樹脂の粉が箒から落ちる」と聞いた事があるのですが、どういうことですか? この樹脂粉は何か害があるのですか?

[答え21]

棕櫚の皮箒は使い始めの数回は、細かい樹脂の粉が床に落ちます。(鬼毛箒は樹脂粉は出ません)

原料の棕櫚の皮には、棕櫚の繊維と繊維の間に細かい茶色い樹脂の粉が含まれています。当店では出荷前に専用の機械でこの粉を除去しておりますが、箒の中に、どうしても取りきれないものがいくらか残ってしまいます。
皮箒をはじめてご使用になる前には、外や新聞紙の上などでよく振り払ってからご使用ください。掃除の最中に床に落ちた樹脂粉は、気にせずゴミと一緒に掃きとってください。数回使用するうちにこの粉は完全に出なくなります。

棕櫚の樹脂粉は無害です。

昔から、皮箒から樹脂粉が出るのはよく知られていて「棕櫚の皮箒は使いやすい箒だけど、最初に粉が出るのが難点だなあ」と、よく言われたそうです。昔は今のように出荷前に機械で粉を除去せずに、毛先をさばいてそのまま出荷しておりましたから、かなりの量の樹脂粉が、箒を使うたびに何日も出たそうです。当時の皮箒を知る方の中には、その時のイメージが強く残っていて皮箒を嫌がる方もいらっしゃいますが、今当店で作っている皮箒の樹脂粉の量は、当時のものとは比較にならないくらい少なくなっています。とはいえ、使い始めの皮箒からは粉が落ちますので、どうしても気になるという方には、樹脂粉の落ちる心配のない鬼毛箒をおすすめしています。

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[質問22]

直接、桑添勇雄商店に行き、箒を見て、選んで買う事はできますか?

[答え22]

今現在、次のような理由から原則、ご来店はご遠慮いただいており、できあがりしだい発送・納品する、という形式でご注文を承っております。

当店は「商店」という名はついておりますが、いわゆるお店ではなく製作所・工房です。

本来は直接実物を見てご検討いただきたいのですが、今のところ生産が追いつかない状況で、在庫や見本となるような箒がご用意できておらず、出来あがったものから順にお送りしておりますので、ご来店いただいても、お見せしたり、選んでいただけるような箒が残念ながらありません。
また、職人が高齢な為、体力的な理由から、原則ご来店はご遠慮いただいております。どうぞご了承ください。

今後、在庫がご用意できるような状況になれば、改めてお知らせします。

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[質問23]

ちりとりも売っていますか?

[答え23]

ちりとりは扱っておりません。

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※棕櫚箒に関する情報は書籍やネット上でも色々紹介されておりますが、作り手からみて、その情報の根拠や内容に疑問を抱くものもいくつかあり、
 どうも情報が一人歩きしているようだと感じてきました。
 おそらく、数十年前まで一般的だった箒売りの行商などで商人が語った売り文句などが、その根拠が確かめられないまま今も残っているのかもしれません。
 あるいは、店頭で販売されるまでに問屋さんなどを転々とした場合、正確な情報がお店やお客様までは伝わりにくかったのかもしれません。
 ここに掲載したすべての疑問・回答については、皆さまのご質問になるべく正確におこたえできるよう、
 棕櫚箒制作でいちから学んだ知識と、毎日さまざまな種類・玉数の棕櫚箒を使用しての実感と、
 当地方で棕櫚箒をよく知る複数の方(桑添のほか、当地方の元・棕櫚箒職人、町内で昔から棕櫚箒を使っている方々など)にも同じ質問をし、
 得られた回答をまとめ、掲載しました。地元で長らく棕櫚箒にたずさわってきた方々は、自分たちの作る箒に誇りと自信を持っており、口を揃えて言います。
 「ここで作っている棕櫚箒ほど、軽くて掃きやすくて、吊して放っておくだけで長年使える丈夫ないい箒はない。
  いっぺん使ってみたら、そんな心配いらん、他のどんな箒よりも扱いやすい箒だって分かる。棕櫚箒は長持ちして誰でも使いやすいから、どこの家にもあったんだ」


その他、ご不明な点などありましたらEメールまたはFAXにてご質問ください。
「よくあるご質問Q&A」は今後も随時増やしていきたいと思います。

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